毎日仕事を頑張っている先生方、お疲れ様です!仕事をしていると「失敗」と呼ばれる状況はほぼ毎日あるのではないかと思います。例えば・・・「授業がうまくいかない、子供の反応が想定より悪い」「保護者対応間違った」「異動したばかりだが、同僚との関係が心配」などこのような失敗も年間を通じて、また教師を続けることで成功への第一歩だったりするのですが、失敗した時はそんな気持ちになることは難しいと思います。今回紹介する本は「教師の悩みは、すべて小説に書いてある」という仮説のもと、先生視点から学校小説を解釈するという実験的なものである。本書を読み進めると各自共感できるポイントが見つかり、悩みを誰かと共有した気持ちになれるのではないかと思います。
本記事を読んで欲しい先生
1 先生の仕事をする中で失敗やモヤモヤを感じている人
2 自分の失敗を誰かと共有したいと感じている人
3 失敗を成功へのステップへと昇華させたい人
本書の概要
「教師の悩みは、全て小説に書いてある」小鳥遊書店 2019年
著者 波戸岡景太(はとおか けいた)
慶應義塾大学大学院後期博士課程修了、文学博士、明治大学教授
日米の現代小説と表象文化が専門
本書の要点
先生からの質問に対して小説での例をもとに筆者からのアドバイスを送るという形式となっています。『坊ちゃん』『二十四の瞳』『銀の匙』改めて学校や先生を題材にした小説の多さに気づかされます。
教師でない筆者からのアドバイスなんてどうなの?と思いながら読み進めてみましたが、なるほどと感じさせるものも多く、小説を下敷きにしているというものも効いているのかと感じました。ここは読んで欲しい!
質問の内容が少し先生をした方なら出てきそうなものが多かったので、自分ならどう答えるだろうと想像しながら読み進めることができます。
「教師があだ名で生徒を呼ぶのに違和感がある」「生徒がなかなか言うことを聞かない」「面白い授業ができない」「先生らしさとは?」「先生は嫌われるべき存在なのか?」などの質問に対して小説の中でどのように扱われてきたか、それを踏まえた筆者のまとめという構成になっています。
筆者からのまとめが悩みのある先生に読んで欲しいポイントです。というのも質問者を突き放すことなくそれでいて寄り添いすぎるわけでもなく「先生」という存在でいるために必要なことや意識することを考えるきっかけを与えてくれます。先生にも悩みがあることを受け止めつつ先生として前に向いていけるようなまとめとなっているため、じっくり読むことで明日からの仕事に対する向き合い方を考えるきっかけになるのではないかと思います。
本書を読んで辻村深月「パッとしない子」という作品を読んでみたいと思いました。クラスの中のいわゆる「パッとしない子」が有名人になって母校に来る、その時の教え子と教師のやりとりがリアルであるとともにその時その時は一生懸命に指導していたのだけど振り返るとこうしておけばよかったという反省が常に出てきて、しかもその反省は対象となった生徒へは返すことができない教師のつらさのようなものを感じることができます。でもやっぱり先生はその時その時でやれることをやるしかないんですよね。
まとめと今後のアクション
先生であるあなたは悩みを抱えながら仕事をしていると思います。そして、それは自分では全く届かないくらいすごいと思う同僚の先生や管理職の先生も同様なのかと思います。また、自分が経験を積無事で解決することもあれば、その時にはそれまで見えなかった悩みが見えるようになるともいえます。生徒と向き合ったり、授業をより良いものにしようとしたり・・・一生懸命仕事をしようとするから悩みが生まれるともいえます。「悩みは生まれるもの」と考え、解決のために行動はすべきかと思いますが、悩みすぎて仕事に支障が出るよりも少しでも前に進みながら過ごしていくことが大切なのかと思います。
「悩み」というテーマを扱った本を紹介しましたが、悩んだら自分の中で止めるのではなく、本を読んだり誰かと話したりするなど外との接点を持つことが健全なんだと改めて感じました。本を読む時間なんて作れないという方もいるかと思いますが、少しの時間をとって手にとってみてはどうでしょうか。